「この夏」
短さから
裂け目から
めまいを伴なう
白く丸い
ふくよかさ
その動く美しさ
陽射しに晒(さら)されず
秘められた鼓動は激しく
生唾が止めどなく
この明るい夏も
もうすぐ秋へ
そうヨーグルトの白い味の季節
<カンナ(Kanna)>
「蛾(が)」
夜が好き
なのに灯火(ともしび)
好きなのさ
<姫ジオン(Himejion)>
「嵐過ぎ」
嵐過ぎ
虫も涼しく
落ち着いて
<狐の孫と蝶(Kitsunenomago Chou>
「久しぶりの雨」
カラカラに乾いた土は
雨の恵みを
初めははじき
<西洋タンポポ(Seiyoutanpopo)>
「嵐の前」
柳さんは枝を巻き上げ
盛んに前触れ教えるけれど
虫は気にせず良い声で
<綿毛(Watage(Seiyoutanpopo))>